広告代理店のレポートで確認する質問|広告主向け月次質問票
広告代理店の月次レポートを受け取った広告主向けに、契約範囲、計測定義、費用、施策履歴、未確認事項を確認する質問と、回答・担当者・期限まで残せる月次質問票を紹介します。
広告代理店から月次レポートを受け取ったら、成果の増減だけを尋ねるのではなく、「何を成果と数えたか」「どの施策をいつ変えたか」「契約範囲のうち何が未実施か」を確認します。回答は次の対応と期限まで記録してください。そうすれば、数字が良いか悪いかという感想で定例会を終えず、広告主として必要な判断を残せます。
この記事は、広告主が代理店へ確認する質問と、回答を確定する方法に範囲を絞ります。代理店の運用担当者が指標を分析するための一般的なレポート読解や、レポートの作成手順は扱いません。
最初に、レポートの対象範囲を一文で確定する
レポートを開いたら、冒頭に次の一文を書きます。
このレポートは、2026年7月1日から31日までのGoogle検索広告を対象とし、媒体費、クリック、問い合わせ完了を前月同期間と比較する。
日付と媒体は例です。実際には、対象期間、媒体、キャンペーン、費用の範囲、比較期間を代理店へ確認します。Google 広告とMeta広告を合算したレポートなら、媒体別の内訳も求めます。全社の広告費と一部キャンペーンの成果を割ってCPAを出すなど、分母と分子の範囲が違う比較は避けてください。
Googleのサードパーティポリシーは、利用規約上、月別のパフォーマンスレポート提供が求められる場合、Google 広告サービスのアカウントごとに費用、クリック数、インプレッション数を含めるよう定めています。Googleからの請求額に代理店の料金を混ぜず、正確に報告することも求めています。
したがって「広告費」だけでは足りません。媒体へ支払った費用なのか、運用手数料や制作費を含む総額なのかを確認します。
月次質問票は、回答と次回期限まで一組にする
質問だけを並べると、「確認します」のまま次月へ持ち越されます。次の表をコピーし、代理店の回答、根拠となる画面や資料、次の対応、担当者、期限を記入してください。
| 確認する質問 | 回答で確定する内容 | 求める根拠 | 次の対応・期限 |
|---|---|---|---|
| 今月の対象期間と媒体はどこまでですか | 集計開始日・終了日、媒体、除外キャンペーン | 管理画面の期間とフィルタ | 空欄を埋める期限 |
| 媒体費と代理店費用は分かれていますか | 媒体請求額、手数料、制作費、税 | 請求書と費用画面 | 差額説明の期限 |
| 「コンバージョン」は何を数えていますか | 問い合わせ、購入、電話などの対象行動 | コンバージョン設定一覧 | 定義修正の要否と期限 |
| 重複・テスト・営業連絡を除いていますか | 広告上の件数と有効件数の差 | 顧客管理表との照合結果 | 除外ルールの合意日 |
| 前月から何を変更しましたか | 変更日、対象、変更理由 | 変更履歴または作業記録 | 効果確認日 |
| 契約範囲の作業は実施されましたか | 検索語句、入札、広告文、計測などの実施状況 | 契約書と作業一覧 | 未実施項目の期限 |
| 成果が変わった要因は確認済みですか | 事実、仮説、未確認事項の区別 | 指標の内訳と比較条件 | 仮説を検証する日 |
| 次月は何を一つ検証しますか | 変更対象、評価指標、変更しない項目 | 検証計画 | 開始日と判定日 |
表の右端が「随時」や「来月」だけなら、終了条件がわかりません。「8月18日までに計測設定を照合」「8月31日に14日分を比較」のように日付と成果物を置きます。担当者も代理店側、広告主側のどちらかへ明示します。
計測定義は、管理画面の数字と実際の顧客をつなぐ
CPAが下がっていても、何をコンバージョンと数えたかが変われば、前月とそのまま比較できません。Google 広告のコンバージョン定義では、コンバージョンは広告キャンペーンの測定と入札戦略の最適化に使うアクションと説明されています。
代理店へは「今月、コンバージョンの対象、計測方法、アトリビューション設定を変えましたか」と質問します。さらに、フォーム完了、電話、購入などの内訳を分け、広告管理画面の件数と顧客管理表の有効件数を並べます。
たとえば、管理画面で問い合わせ20件、顧客管理表で有効問い合わせ12件なら、8件の内訳を確かめます。重複、テスト送信、営業連絡、対象地域外など、分類は自社の事業に合わせて定めます。この数字は質問票の使い方を示す仮定であり、一般的な有効率や改善実績ではありません。
計測設定そのものを点検したい場合は、広告アカウント診断チェックリストに沿って、コンバージョン、検索語句、入札、予算、広告文を順番に確認できます。
施策履歴は「変更した事実」と「理由」を分けて尋ねる
「今月は最適化しました」という回答だけでは、次の判断に使えません。変更ごとに、日付、対象、変更前、変更後、理由、確認予定日を聞きます。
| 日付 | 変更した対象 | 変更前 | 変更後 | 変更理由 | 確認予定日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 例:7月10日 | Aキャンペーンの日予算 | 1万円 | 1万2千円 | 予算制限があり、有効問い合わせの割合も維持されていた | 7月24日 |
これは記入形式の例です。増額によって成果が上がると保証するものではありません。確認したいのは、結果が変わった後に都合のよい理由を付けたのではなく、変更前に仮説と判定日を置いていたかです。
同じ期間に予算、入札、広告文、ランディングページを一度に変えると、どの変更が結果へ影響したかを切り分けにくくなります。緊急の修正でなければ、次月に検証する主要な変更を一つ決め、他の変更も履歴へ残します。
契約範囲と実施内容を照合する
レポートには、数字だけでなく、契約した作業の実施状況も必要です。契約書や提案書に「検索語句を定期確認」「広告文を改善」「月次報告」と書かれているなら、実施日と結果を質問します。
ただし、作業回数が多いこと自体を成果とはしません。検索語句を100件除外したとしても、将来の顧客まで除いていれば望ましい運用とは言えません。「何件作業したか」に加えて「どの判断基準で行い、何を変えずに残したか」も確認してください。
Googleの広告主向けガイドは、広告主自身も関わり、キャンペーンの状況を把握することを勧めています。同ガイドは、サポート料の対象として管理、レポート、疑問への対応、最適化などを挙げています。契約した仕事と月次の報告が対応しているかを見る根拠になります。
変化の説明は、事実・仮説・未確認に分ける
レポートの説明を次の3種類に分けると、言い切りすぎを防げます。
- 事実:管理画面や顧客管理表で確認できる変化。例「クリック単価が前月比で上昇した」
- 仮説:事実を説明しうる原因。例「競争環境の変化が影響した可能性がある」
- 未確認:判断に必要だが、まだ取得していない情報。例「オークション分析と変更履歴の照合が未実施」
代理店へ「それは管理画面で確認した事実ですか、検証前の仮説ですか」と尋ねます。仮説なら、何を見れば確かめられるか、いつ確認するかまで決めます。「季節要因です」「市場が悪化しました」といった説明も、比較期間や根拠がなければ確定事項にはしません。
レポートだけでは設定の妥当性を判断できず、別の視点が必要なら、広告運用のセカンドオピニオンで、診断範囲と安全な閲覧権限を確認できます。
未確認事項は、次月のレポートへ自動で引き継がない
定例会の最後に、未確認事項だけを読み上げます。それぞれに「誰が、いつまでに、何を提出すれば完了か」を置きます。代理店側の確認だけでなく、広告主側が渡す受注データやキャンペーン情報にも期限が必要です。
前月から残った論点は、新しい質問と分けて表の上部へ置きます。2か月続けて回答がない項目は、情報が存在しないのか、契約範囲外なのか、取得に追加費用がかかるのかを確認します。回答を急がせることが目的ではありません。広告主が予算継続、施策変更、契約更新を判断できる状態にすることが目的です。
次月に向けて決める検証は一つに絞り、評価指標と期間を先に置きます。短い期間の増減だけで結論を出さず、計測不具合など緊急性の高い問題は観察を待たず直します。
確認した一次情報
- Google「Google サードパーティ ポリシー」
- Google 広告ヘルプ「キーイベント、コンバージョン、購入の定義」
- Google「広告主様向けガイド:Google 認定パートナーによるサポート サービスについて」
本記事は2026年8月18日時点のGoogle公式情報を基にしています。媒体の画面名やポリシーは変わるため、月次確認時は最新の公式ページをご確認ください。